フリーランスを目指す人が本当に増えているようです。これからももっと伸びるのでしょう。
会社に依存しない生き方を目指し、フリーランスになるというのはとてもいいことだと思いますが、これまで企業に長い間勤めてきたわたしのような会社員は、会社員でなくなることのデメリットもしっかり理解しなければなりません。
もし、いま自分が会社を辞めてフリーランスになったら社会保険はどうなるのか?
それぞれの保険ごとに、ごく基本的な部分について考えてみます。
雇用保険
雇用保険はいわゆる「失業手当」に代表される公的保険です。
31日以上継続して雇用される見込みであることと、週の所定労働時間が20時間以上であることが加入条件ですが、そもそもフリーランスは雇用される立場ではありませんので、対象にはなりません。
むしろフリーランスを目指してこれまで在籍していた会社を辞める際に、どのような手当がもらえるのかという方が気になるかもしれませんね。
給付日数やもらえる金額は、それまでの会社でもらっていた給与、在籍期間等によりますので、一概にいくらとは言えません。
失業理由が「自己都合」の場合は2か月間の給付制限期間が設けられています。つまり会社の倒産や解雇ではなく自分で会社を辞めた場合は、2か月間は失業手当がもらえません。
この間の生活費を確保しておくことが重要になるでしょう。
そしてもっと重要なのは、開業を目指すということは再就職する意思が無いということですので、給付が受けられなくなる可能性があります。
一方で、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある場合は、起業すると再就職手当を受けることができます(再就職手当という名称ですが、起業の場合も受けることができます)。
雇用保険はいろいろと複雑ですので、また別の機会に深掘りしようと思います。
フリーランスになった場合の雇用保険のデメリット
- そもそもフリーランスは雇用保険には加入できない
- フリーランスを目指して会社を辞めたとき、自己都合による給付制限がある
- 開業する場合、失業給付を受けられない
労災保険
労災保険は雇用されるすべての労働者が対象です。フリーランスは雇用される立場ではないので、やはり原則として加入することができません。
しかし、雇用される労働者以外でも加入できる「特別加入」という制度があります。これには要件があり、誰でも加入できるワケではありませんが、今後はフリーランスの加入も認めていこうという議論がなされているようです。
ただし、仮にフリーランスが労災保険に加入できることになったとしても、保険料は自分で全額負担しなければなりません。
フリーランスになった場合の労災保険のデメリット
- フリーランスは原則加入できない
- 特別加入という制度(加入要件の拡大も検討中)もあるが、保険料は全額自己負担
健康保険
会社員であれば、健康保険料は半分会社負担ですが、フリーランスになると全額自己負担になります。
また、加入する保険の種類が変わります。会社員であれば会社が加入している健康保険組合が運営する健康保険に加入しますが、フリーランスの場合はほとんどの場合「国民健康保険」に加入します(この辺りは実際はもっと複雑なので、別の機会に詳しく解説します)。
会社員時代は給料から天引きになっていた保険料の納付も自分でやらなければなりません。
尚、国民健康保険加入以外の選択肢もあります。
l 同じ職種、業界団体で運営している「国民健康保険組合」に加入する
l 家族の扶養に入る
l 会社で加入していた健康保険を任意継続する
※任意継続には諸々条件があります。
フリーランスになった場合の健康保険のデメリット
- 会社員時代の健康保険組合を脱退し、国民健康保険に全額自己負担で加入
- 保険料は自分で納付しなければならない
年金
原則として会社を辞めると、厚生年金から脱退して国民年金に加入することになります。厚生年金であれば保険料は所得に応じた保険料を会社と折半します。
フリーランスの場合は全額個人負担ですが、金額は一律です(毎年変動があります)。
一番の問題は、国民年金だけだと将来もらえる年金が、厚生年金に比べてかなり少ないということです。
定年の無いフリーランスですから、元気なうちは年金に頼らず、自分で稼げばいいのですが、やはり不安は残ります。
年金はとても複雑ですので、今後将来の不安を解消するための方法も含めて今後解説します。
フリーランスになった場合の年金のデメリット
- 厚生年金を脱退し、全額自己負担で国民年金に加入しなければならない
- 厚生年金より受け取れる年金がかなり少なくなる
フリーランスの社会保険まとめ
ポイントを絞ってかなり簡単に解説しました。細かい点はいろいろと条件によって異なる部分もありますが、全体的に会社員時代に比べて不利になることが多いと理解しなければなりません。
社会保険の多くは企業に勤める労働者のために設計された制度ですので、フリーランスになると多くが失われます。
これら社会保険の内容を理解し、フリーランスになった時、自分の生活をどうやって守っていくのかをかんがえなければなりませんね。